謎多き樹木…竜血樹。その自生場所や特色、深紅の樹液の活用法、そして効き目などを解説!

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竜血樹は、その幹に刃物で切れ目を入れると、まるで人体から溢れる血のように赤い樹液が出てきます。その特別な樹液は「竜血」といわれ、染め物の材料、漢方として今なお活用されています。鉢植えでも販売されており、観葉植物であるドラセナの一種であるこの竜血樹。その自生している土地、特色、また漢方薬が何に効くのか等について解説し、実は有毒なのではないか?などの疑問についても解き明かしていきます。

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竜血樹とは

「竜血樹」という呼称の樹木は、実際のところ世界中に複数あります。狭い意味での竜血樹というのは「ドラセナ・ドラコ(Dracaena draco)」を指し示しますが、広い意味でとらえた場合「ドラセナ・シナバリ(Dracaena cinnabari)」を加えた2種類を竜血樹と呼びます。加えて、もっとこの範囲を広げてみるとドラセナ属の樹木全てを竜血樹と扱うこともあり、ドラセナ属ではなく「リュウケツジュ(竜血樹)属」と呼んでも間違いではありません。

「竜血樹」のよび名の由来

竜血樹の幹を刃物で切り裂くと、まるで血を流しているかのように深紅の樹液があふれてきます。樹液が凝固したものが「竜血」と名付けられ、いにしえの時代より薬や染め物に使用されてきました。その竜血の源となる樹木として「竜血樹」となったわけで、英語では「dragon’s blood tree(竜の血の木)」となります。

竜血樹の特徴

竜血樹である二種類の樹木「ドラセナ・ドラコ」「ドラセナ・シナバリ」。この二つはどちらも陸地から遠く離れた島に存在している木です。いにしえの時代から育ってきた樹木が島には多く存在しますが。そのなかでたくましく生き延びてきた竜血樹の特徴を解説していきます。

ドラセナ・ドラコは、別名「カナリアアイランド・ドラゴンツリー」、原産地は大西洋のマカロネシア・カナリア諸島。保全状況は「絶滅危惧」。形態は常緑高木 で樹高は10~20m。暑さには強いが、寒さにはやや弱い。水やり頻度は控えめでOK。形としてはブロッコリー型です。

ドラセナ・シナバリは、別名「ベニイロリュウケツジュ」または「ソコトラ・ドラゴンツリー」、原産地はインド洋のソコトラ諸島。保全状況は「絶滅危惧」。形態は常緑高木 で樹高は10~20m。やはり暑さには強いが、寒さにはやや弱い。水やり頻度は控えめでOK。形はドラコと異なり、キノコ型です。

竜血樹の原産地について

ドラセナ・ドラコの原産地であるカナリア諸島はスペインにある火山島で、亜熱帯の砂漠性気候に属しています。年間の降水量は200mmほどで、島には国立公園が4つもあります。(うち2つは世界遺産)観光地や保養地として人気があります。

ドラセナ・シナバリの原産地であるソコトラ島はイエメン(中東・アラビア半島南端)ソコトラ県に属する島で、熱帯、砂漠があり、ステップ気候。年間降水量は250mmほどで少なく、陸地の75%が世界遺産という珍しい島です。「インド洋のガラパゴス」とあだ名がつくほど固有種が多数存在していますが、現在はヤギの食害が問題となっており、竜血樹には危機が迫っているといえます。

竜血樹の種類

ドラセナ・ドラコ(Dracaena draco)

学名「Dracaena draco」。ドラセナとは雌竜、ドラコは竜という意味で、どちらも竜血を生み出すところに由来があります。高さ10m以上もあるドラセナであるドラコはとても伸びるのが遅く逞しい性質を持っていて、鉢植えにして育てる人も近年では多いようです。伏せ枝、挿し木など増やし方の種類もたくさんあり、育てやすい方だといいます。

ドラセナ・シナバリ(Dracaena cinnabari)

学名「Dracaena cinnabari」。シナバリ(cinnabari)とは「朱色の」という意味のラテン語で、赤い樹脂の色が由来です。キノコのように大きな屋根状の葉によって霧の水滴を留めておけるドラセナ・シナバリは、自らの根元にその水を滴らせることで乾燥した土地でサバイバルしてきました。また、己自身のつくる影によって水分の蒸発も少なくすることができるという長所も持っています。

広義の竜血樹

「ドラセナ・コンシンネンシス」「ドラセナ・カンボジアーナ(海南龍血樹)」といった高木のドラセナ属をまとめて竜血樹と呼称することもあります。画像はドラセナ・カンボジアーナであり、ドラセナ・ドラコと姿形はよく似ています。原産地は東南アジアから中国本土南部あたりです。

竜血の意味

いにしえの時代より西洋・東洋問わず活用され、広まった鮮やかな赤い固形物質……それが竜血です。良質と判断されたものは医薬品、そのほかは広く染料として使用されてきました。元となるのは竜血樹の樹脂・鉱物など多岐にわたり、その希少性から高値で販売されてきました。

竜血の種類

ドラセナ・シナバリの木肌を切りつけ、出てきた樹脂を取り出して凝固させたものが竜血です。「麒麟血」とも呼ばれ、古代ローマ時代では血を止めるために利用されたり、痛み止めの薬にもなりました。
他には東南アジアにも竜血樹の存在が確認されています。「ドラセナ・コンシンネンシス」「ドラセナ・カンボジアーナ」の2種で、いずれもドラセナ属。どちらもやはり竜血を生み出します。これら樹木から取り出すことのできる竜血も他のドラコ、シナバリと同様に活用されています。

キリンケツヤシ(Daemonorops draco)は、名前の通りヤシ科の植物です。キリンケツヤシの竜血は、その実から取り出すことができます。その活用方法は、薬用の他にニスなどの染料、他にも歯磨き粉や飲料水の色つけにも使われています。他の竜血樹と異なり、藤の一種であるため、高さは1mほどです。

辰砂(しんしゃ)とは鉱物のひとつで、水銀をつくりだす原料として古来より使用されてきました。中国では漢方として今も使われており、「丹砂(たんさ)」また「朱砂(しゅしゃ)」と呼ばれて重宝されています。かつて日本においても弥生時代から使われていたという伝承が残っており、壁画などの材料や漆器に着色する際の色として使われていました。

竜血の利用法・効能

紀元前のあたりで初めて使用されたといわれている「竜血」。現代においては主に漢方の材料として使われ、製品として一般的に売られています。その竜血の原材料は大きく3つに分類されますので、その分類ごとの使用方法、効き目などを解説していきます。

竜血樹の樹脂から採れる「竜血」

竜血樹から採れる質の高い竜血は、主に薬になります。ドラセナ・ドラコ、ドラセナ・シナバリから採れるものは質が良く、現地では止血や収れん剤、防腐に消毒と使用法は多岐にわたります。
薬以外では染料、家具に塗られるワニスとして使われます。染料としては「辰砂」の赤が広く知られていますが、現地では高級な布に彩色する際に使われているようです。そして、中世では呪術、錬金術といった幾分オカルトめいた術にも使われていたといいます。

キリンケツヤシの果実から採れる「竜血」

漢方として服用する「血竭(けつかつ)」。その効き目は血を止めることと、痛みを鎮めることです。血竭(けつかつ)はキリンケツヤシが原料の漢方ですが、ほかには「七厘散」「大活絡丹」があり、その効き目は古の時代から変わっていません。「樹脂エステル」「ドラコレジノタンノール」の混じりあった物質が竜血の主成分であり、多糖類については薬として抗凝固特性があると一般的にはいわれています。

キリンケツヤシから生み出される竜血は、ねんざや打撲をした際の鎮痛、外傷を受けたときの化膿止めにも効き目があるとされています。

鉱物の辰砂から採れる「竜血」

「辰砂」から採れる竜血は、いにしえの時代より希少性の高い色の原料として使用されてきました。歴史ある掛け軸、食器をみてみると、辰砂の赤色がいかに使われてきたかがよくわかります。現代においても陶芸で釉として使われている辰砂。水銀ではなく、銅から生み出される色です。

この辰砂から取り出せる竜血には毒があります。鉱物としても高い毒性を持っていると広く周知されており、植物を元にしている竜血と違って絶対に口にしてはいけないものです。

漢方として調剤された辰砂は、現在においても手軽に購入することができます。効き目は催眠、鎮静。「朱砂安神丸」という処方が有名です。服用する場合には必ず専門家の指示を受けて行うべきです。

竜血樹・竜血まとめ

竜血樹は何千年もの時を生き延び、現地の住民の暮らしに寄り添ってきた特別な樹木です。
日本においても手に入れることはさほど困難ではありませんので、試しに育成してみるのもいいかもしれません。現代においても現地の人々の間では何にでも聞く薬と呼ばれている竜血ですが、実際には薬や漢方として使えるのは質の高いものだけです。中には粗悪品もありますので、服用する際には自分の知識だけに頼るのではなく、専門家の常駐している薬局での購入をした方が身のためです。

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